博多文福(井尻)
2021年12月にオープンした新店。春日市須玖北の古民家をリノベーションした店舗。文福茶釜をイメージしたイラストが壁面に描かれており、店内に入ると信楽焼の狸♀がお出迎え。
店主の島津智明さんは、長年『博多一風堂』を引っ張って支えて来た若きリーダー。個人的にも付き合いが長い島津さん。満を持しての独立開業は、まさかの味噌ラーメン専門店。一風堂時代に海外立ち上げを多数任されてきた島津さん。自分でもいずれは海外に、という思いから海外に日本の食文化を伝えたいと味噌をテーマに据えた。また、東京初台の味噌ラーメンの名店『一福』をリスペクトしていることも大きな要素になっている。
豚鶏野菜ベースのスープに、北海道から地元福岡まで5種類の味噌をブレンドした味噌ダレ。麺は青木食産製の中太麺と細麺から選ぶことが出来る。味噌ダレや油に頼らず味噌本来の味やスープの旨味で引っ張る、毎日でも食べられる優しい味わい。いわゆる「純すみ」のヒット以降、濃厚で油分の強い味噌ラーメンが主流となる中で、このアプローチは勇気が要ったと思うが、さすがベテラン職人だけあって上手にまとめて来た。
札幌ラーメンとは全く違う設計だが、古き良き札幌味噌ラーメンをどこかで感じさせるような。濃厚な味噌ラーメンではないからこそ、バターとコーンも良く合う。味噌ラーメンの原点回帰というか、他と同じを良しとしないスピリットがほとばしる一杯。接客やサービスも新店とは思えぬクオリティなのもさすが。幅広い客層に受け入れられそうな新店の登場だ。
0コメント