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東京の人間は兎角我が儘で自分勝手なものだ。せっかく福岡まで足を運んだのだから、東京ではなかなか食べられないものを、と「福岡のラーメン」を食べたがる。しかし「福岡のラーメン」とはなんだろう。豚骨スープにバリカタの細麺が福岡のラーメンなのか。替え玉がなければ福岡のラーメンではないのか。福岡ラーメンの定義とはなんなのだろう。
言うまでもなく、その土地のラーメンはその土地で暮らす人たちの日常食だ。確かに福岡人が豚骨ラーメンをこよなく愛していることは間違いないが、もちろんそれがすべてではないだろう。同じように福岡でラーメンを作る人たちも、豚骨ラーメンばかり作っているわけではない。私たち東京の人間が醤油ラーメンばかりを食べているわけではないように、福岡にも多種多様なラーメンが存在し、それを日々作る人がいて、食べる人がいる。
とはいえ、歴史的に見れば豚骨ラーメンが長いあいだ幅を効かせていた場所であることは疑いなく、今も福岡のラーメンといえば豚骨ラーメンがメインストリームであることは間違いない。「豚骨以外はラーメンじゃなか!」という保守的な人も少なからずいるだろう。しかしながら、福岡の豚骨ラーメン一つとっても長浜ラーメンと博多ラーメン、久留米ラーメンなどそれぞれの個性がある。また、最近の福岡では「脱豚骨」の流れが加速化しており、白濁豚骨ラーメン以外の味を提供する店も少しずつ増えている。それらすべてをひっくるめた、福岡のラーメン文化はとても多様で、見方によっては東京のラーメン文化よりも面白く興味深い。
東京の人間が浅薄な知識や思い込みで、福岡のラーメンを知ったように語るのは愚かなことは重々承知している。しかし、その土地で生まれ育っていない他所者の人間だからこそ、俯瞰して見えて来るものもきっとあるはずだ。そんなことを細やかな心の拠り所にしながら、時々訪れる大好きな街福岡で、時々食べる大好きなラーメンについて、時々感じたことをとりとめもなく書き連ねる。「福岡ラーメン通信」はそんな緩やかな場であればいいと思っている。
2016.12.18
山路力也
山路力也
ラーメン評論家/フードジャーナリスト
「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を常に考えながら、テレビ・雑誌・ウェブなど様々な媒体で活動中。
福岡は小学生の頃に初めて来て以来、街の魅力と人々の優しさに触れ、大好きな街に。2000年代からは頻繁に滞在するようになり、福岡の雑誌やウェブ、テレビなどのメディアでも活動している。
オフィシャルサイト www.ymjrky.com
【主な著作】「トーキョーノスタルジックラーメン」(幹書房)/「ラーメンマップ千葉シリーズ」(幹書房)/「ワナドゥ!!手帳 ラーメン」(ロフト)/「ラーメンWalker千葉」(角川マーケティング)/「千葉ラーメン最強の222軒」(角川書店)/「千葉拉麺案内」(角川書店)/他
【主な連載】「シティ情報Fukuoka」(シティ情報ふくおか)/「クイッターズ福岡」(チカラ)/「Yahoo! ニュース個人」(ヤフー)//「Tokyo Raumen On Air」(TV LIVE ONLINE)/「千葉拉麺通信」(千葉拉麺通信)他
【主な出演】「郷愁の街角ラーメン」(BS-TBS)/「ごごナマ」(NHK)/Rの法則」(NHK)/「ZIP!」(日本テレビ)/「スーパーテレビ情報最前線」(日本テレビ)/「オスカル!はなきんリサーチ」(テレビ朝日)/「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日)/「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)/「侃々諤々」(テレビ朝日)/「お願いランキング!GOLD」(テレビ朝日)/「ニュースの森」(TBS)/「L4you!」(テレビ東京)/「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)/「お金のソムリエ」(テレビ東京)/「モウソリスト」(フジテレビ)/「百識王」(フジテレビ)/「みんなのニュース」(フジテレビ)/「メシテロ」(Abema TV)/「ももち浜S情報ライブ」(テレビ西日本)/「今日感テレビ」(RKB毎日放送)他
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