博龍軒(馬出九大病院前)
創業1952(昭和27)年。福岡を代表する老舗中の老舗に恥ずかしながらの初訪。馬出中央商店街のアーケードの先に突如現れる、飾り気のない店舗。2015年、大正通りに「翔龍軒」というお店が出来て、そこは博龍軒創業者の息子さん夫婦が独立した店だったが、その時にここにも来なければと思いながら抜けていた。
博龍軒と赤のれん節ちゃんラーメン。どちらも福岡を代表する老舗ラーメン店だが、この二軒には繋がりがある。戦後間も無い頃にうどん屋を営んでいた山平進氏の家の工事に訪れたのが、満州出征から戻り大工をしていた津田茂氏。山平氏が津田氏に屋台経営を勧め、山平氏が麺、津田氏がスープを担当して一緒に作り上げたラーメンが博多の豚骨ラーメンの原型と言われている。のちにそのラーメンをベースに山平氏が博龍軒を、津田氏が赤のれんを開いた。このあたりのストーリーは熊本ラーメンが生まれた時に近いものを感じるな。
今、博龍軒は三代目の女性と四代目の弟さんが姉弟で営まれている。弟さんが小さな釜で平ざるを使って麺を上げ、お姉さんが具を乗せる。レードルは使わずにポットでタレを入れる。替え玉がないのが正しい博多ラーメンのスタイルだ。だから麺はちょっと多めなのだが、一緒に白飯を食べる人がほとんどだ。
小さな丼にスープがなみなみと注がれて、キクラゲもどっさり。大きな五右衛門釜で炊かれたスープはどっしりとした存在感。ややカエシが弱めのバランスだが、ちょっと自分で足すと一気にパンチが出る。麺はもちろん赤のれん同様、博多ラーメンの源流ならではの平打ち麺。変わらないために変わらない一杯。ようやくこのラーメンを食べることが出来て、やっと少しは福岡のラーメンを語っても良いような自信を得た。
流れるような所作から生まれる、迷いやブレのない潔いラーメン。客に媚びたようなラーメンが多い中で、こういうラーメンが今も食べられる事が嬉しい。いつまでも続いて欲しい一軒だ。
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